残るもの。残したいもの。
朝の電車では、景色を眺める。
昼休みのベンチでは、本を読む。
帰りの電車では、日記を書く。
眠る前のベッドでは、あしたのことを考える。
同じような毎日を積み重ね、ふと過去を振り返れば
そこにはたしかにいろいろな感情が渦巻いていたはずなのに、
今となっては、その大半が輪郭しか見えない。
普段、日本にいる母とはメールかスカイプでやり取りをしている。
以前は1週間に1、2度のペースで連絡をしていたのに
このごろはなにかと母の方が忙しいらしく、
わたしへの返事がおざなりになっているのがよくわかる。
つい先日、2週間ぶりにメールが届いたと思ったら、
いきなり、すべてが「ですます調」になっていて驚いた。
いままではちょっとつっけんどんなくらいだったのに、
なぜ、急に「ですます調」?
これはもしかしたら、母を名乗る宇宙人が
代理で書いたんじゃないだろうかと思ってしまった。
そして、ついさっき届いたメール。
数日前、わたしが料理の作り方について尋ねたら、その返事が来た。
「…ひたひたのしょうゆとみりんと酒。甘い方がおいしいよ」
(今日は「ですます調」じゃなかった)
そして最後に、「いろいろ料理して感心だよ。いいお嫁さんに
なれるのにな・・・・・・・・・・・」
この、「なれるのにな」のあとのやたらと長い点々に思わず苦笑。
何が言いたいのか、言われなくても理解しております。