雨の写真は、撮れるのでしょうか。
朝、起きたときはとてもいい天気だったけれど、
お昼頃から少しずつ崩れはじめ、とうとう小雨が降り出した。
それまでは本を読み、のんびりと過ごしていたのに
雨が降ると、途端に散歩がしたくなるあまのじゃく。
カメラを肩にかけ、小銭入れと鍵をポケットに入れて外へ出た。
雨の写真は、撮れるのだろうか。
そんなことを思いつつ、
目の前を落ちる透明のしずくへレンズを向けるけれど、
全然、焦点が合わない。どう、撮っていいのかもわからない。
雨を写真に残すには、水たまりとか、傘とか、花とか、
なにか、ほかのものの力が必要なのかもしれないと思ったとき、
もしかしたら、自分自身のことをきちんと知るのにも、
誰かからの言葉とか、態度とか、表情とか、
「わたし」という存在を写し出す
なにか、鏡のようなものが必要なのかもしれないと思った。