自分の姿は、鏡と夢のなかでしか見えない。
とてもいい夢を見た。
寝ながら笑っていたのではないかと思うほど
しあわせな夢だった。
目を覚まし、夢の欠片を両手でそっと集めるように
頭のなかで、しばらくのあいだ反芻した。
身動きしたら、それらがすべて消える気がして
いつまでも、白い天井を見ていたかった。
だけど、そういうわけにもいかないので、
えいっと布団から起きだして、
じゃぶじゃぶ冷たい水を顔にかける。
たとえ、生暖かく心地いい空間の名残がそばにあっても、
夢のなかではない。
わたしは、こっちの世界で生きるのだ。