いつか、叶える。
わたしが屋台を出すとしたら、朝だけ開く店がいい。
夜明けの前から準備をはじめて、ぱちぱち弾ける火を囲み、
桃色の朝焼けを眺めたい。
小高い丘の木の下に、ベンチシートを1本、2本。
用意するものは、チャイとお菓子。
たまにはベーグルや、おにぎりなんかも作ったり。
太陽の光があれば、ランプも電灯もいらないし、
たえず風が吹き抜けていくなら、BGMもラジオもいらない。
屋台には時計を置かず、木の陰で時間を知る。
雨が降れば透明のビニールシートを枝に掛け、
真下から、雨のつぶを数えるのだ。
遠くの村に、白い煙がゆらゆらあがるのを見下ろしながら、
みんなといっしょに気持ちよく、毎日を始めよう。
「行ってらっしゃい、今日もよい一日を」と
そんな気持ちで、みんなの背中を見送ろう。
丘を登れば、いつでもその小さな屋台があることが、
誰かの励みになればいい。
ユニオンスクエアのマーケットで、
アップルサイダーを注ぐ女の子を眺めつつ、
いつかの夢を、思い出した。