思い出を手繰るパン。
友人が京都のお土産に買ってきてくれた、「ル・プティ・メック」のカンパーニュ。
(お土産というより、わたしが強要したとも言う…)
このお店に4人で出かけ、アメリの世界みたいな店内でボリュームいっぱいのバゲットサンドを食べ、それからひとつのカンパーニュをみんなでつまんだのは2年前の秋のこと。
焼きたてのそれはじんわりとみずみずしく、パンをちぎる手を誰も止めることができなかったのを思い出す。
たぶん、わたしたちが何度でも同じパンを食べるのは、その味が大好きなのはもちろん、そのなかにたくさんの記憶が映し出されるからなのだろう。
まるで、パンがひとつのスクリーンになったかのように。