10年ほど前、突発性難聴にかかったことがある。
朝、起きたら右耳だけ耳鳴りがしていたが、それでもあまり気にせずに外出したら、どんどんひどくなってきて、そのうちなにも聞こえなくなってしまった。
こりゃおかしいと耳鼻科へ行くと、「あんた、あと少しここへ来るのが遅かったら、完全に耳が聞こえなくなっていたよ。あぶなかったねえ!」と、おじいさん先生は豪快に笑って言い、栄養剤の点滴など、てきぱきと治療を進めてくれた。
それ以来、耳鼻科となるといつもこの医院を頼っている。
待合室の壁紙はところどころ破けていて、よく言えば昔ながらの、はっきり言えばかなり古ぼけた医院だけど、このおじいさん先生に会えることだけが、花粉症の時期の密かな楽しみ。
どうか、いつまでもお元気で。
今日の昼間、電車で2駅の距離にあるその耳鼻科まで自転車で出かけたあと、帰りにはちょっと遠回りして
昨年オープンしたパン屋さんへ。
「タップナードカンパーニュ」には、オリーブ・アンチョビ・ガーリックのペーストが入っている。
また来週、おじいさん先生の耳鼻科へ行ったら、帰りにはこのパン屋さんへ寄り道しよう。
今年の春の散歩コースがひとつ増え、ちょっとうれしい。