ひっくり返って、しあわせの種。
深夜3時発の飛行機が急遽、キャンセルになり
おいおい、あしたから仕事なんだけど、と思っていたところ、
搭乗予定だったひと全員、デリー郊外のホテルへ案内され、
その晩は、そこで一泊することになった。
バックパックは、すでに預けてしまったので、
ホテルに持ち込んだものといえば、パスポートと日記帳とカメラだけ。
それでも、そのホテルはものすごく快適で、
インドでこんないいトコ、泊まったことないってくらい
ちょっとおしゃれな三ツ星ホテル、
翌朝の朝食も、もちろんフリー。
空港まで連れて行ってくれるバスが来るのは11時と聞いたので、
それまで、近所を散歩することにした。
ひさしぶりの北インド。
このところ、ずっと南インドばかり旅していたので
埃っぽい、茶色い景色は久々だ。
なんでもない光景を、ばしゃりばしゃりと写真に残す。
ああ、やっぱりわたしはインドが好きだなあと
出国間際にして、しみじみ思う。
不運だと思ったことが、ひっくり返ってラッキーになり、
あとから考えてみると
なんだか、しあわせだったように思える。
人生、そんなことの繰り返しなのだとしたら、
不幸という色で、完璧に塗りつぶされたできごとなど、
ひとつもないと、思いたい。