ぐるりと回って、戻ってくるなら。
遊びに来ていた母を駅まで送り、
帰りにいつもの喫茶店でコーヒー豆を100g買う。
200gにしようか迷ったけれど、
まだ少し、残りがあるので、きっとそれでは多すぎる。
あと10日でインドだから。
「あなたみたいに、逃げる場所があればよかったのにね」
そう言われてなにも返すことができなかったのは、
前回、インドから帰る時に飛行機を乗り継いだ仁川空港。
「あなたみたいに、インドでもどこでも行くことができれば
あの娘も、あんなことをせずに済んだかもしれないのに」と、
その女性は、ぽつんと言った。
誤解を恐れず、正直な気持ちを書いてしまうと、
わたしは、「旅とは逃げ道である」ということに
否定する言葉は何も持ち合わせていないし、
そもそも、否定するつもりもまったくない。
便せんには余白があり、楽譜には休符があるように、
人生、ひとつくらい
逃げ道という名の隙間があったっていいんじゃないのと、
旅路と人生を繰り返し、
旅が、一種のアイデンティティとなった今でも
わたしはやっぱり思っている。
仁川でお会いしたお母さん、
わたしは、年末もインドへ行きますよ。
あなたはまた韓国へ行き、
あなたの「あの娘」は
どこかの上空を自在に飛び回っているのでしょうか。
ameen's ovenでの写真展、無事に終了いたしました。
たくさんの方にお越しいただき、本当にありがとうございました。
来年早々に、また、日本のどこかで開催する予定です。
決まり次第、こちらに詳細をアップします。