旅の写真を整理しつつ。
4時に寝て6時に起き、原稿を1本書く。
それからパンを焼き、コーヒーをいれた。
パンに添えるのは、ホイップしたバターに塩を加えたもの。
先日、取材で訪ねたカフェで頂いたバターがとてもおいしかったので
真似してみたのだ。
冷蔵庫から、カチカチのバターを取り出し、
原稿を書いている間、
部屋のなかで、いちばん日当りのいい場所に置いておいた。
冬の朝日では、それほど溶けるわけでもなかったけれど、
少しずつ、バターに塩を練り込むように混ぜてから
いつものとおり、フライパンでトーストしたパンに塗った。
このごろ、なんだか生活が偏っている。
夜遅く、というより、朝方眠ることに違和感がなくなり、
睡眠時間が2、3時間でも気分の収まりどころが一定になった。
「なんだか、とても生き急いでいるような気がするんですよね」
バンコクの空港の待合室で、たまたま隣に座り、
そう語った彼女は、今頃ネパールにいるのだろうか。
そんなわけはないか、彼女と会ったのはもう5年以上も前のことだ。
仕事の合間を見て、写真展の準備をする。
一枚ずつ、写真に言葉を載せてデータを作る作業も
あと少しで、おしまいだ。
旅の途中で撮った写真は、
たいてい、どこで撮ったものか覚えているんだけど、
今日、作業をしたこの親子の写真だけは
どうしても場所がわからない。
デジカメではなく、ネガで撮ったことを考えれば、
たぶん、時期は2004年の夏頃。
そう考えると、おそらく北インドのレーか、ダラムサラか。
いまごろ、この子もひとりで歩けるくらい、
大きくなっているのだろうか。
こころにあるせつなさという分子を振動させるように、
せつない音楽を、何度も聴く。
音楽が終わると、また始めから繰り返す。
写真を整理し、原稿を書く。
時折、旅先のこどもたちを思い出す。
このところ、毎日はこんなふうに流れている。