そして、一日ははじまる。
今日の朝焼けは、ほんとうにほんとうにきれいだった。
そのまま部屋から飛び出して、
おーい、朝だぞーって叫びたくなったくらい。
にわとりだったら、きっと太陽に向かって
吠えるように甲高く鳴いただろうし、
豆腐屋だったら、まるで勝利を知らせるように
ラッパを吹き捲くったにちがいない。
桃色のグラデーションが見とれるほど美しく、
ベッドに寝転んだまま、ずっと夜が明けていくのを眺めていた。
明けない夜はないなんて、ことばにすると
なんとなく薄っぺらく、ニセモノみたいに思えてしまうけれど、
そんなふうに考えるのは
自分がひねくれているからじゃないかって反省する。
やっぱりさ、夜は、明けるためにあるんだよ。
闇は、光を迎えるためにあるんだよ。
おしまいは、必然的にはじまりをつれてきて、
かなしみは、しあわせの種になるんだ。
そして、朝食には「La natura」のプレーンスコーン。
夜が明けるためにあるのなら、
朝のパンは、今日が昨日と違うことを
再確認するためにあるのだろう。