いつも、となりにはキミがいた。
ここが、わたしのお気に入りの場所だった。
いつも、となりにはキミがいて、
ときどき、大きな牛にケンカをしかけては
けたたましく吠えたけれど、
それでも、普段のキミは動きがゆったりとおおらかで
わたしのとなりに足を投げ出すように座ったり、寝転んだり、
そして、一緒に海を見た。
海を見下ろす絶壁に、石のベンチが4つ。
そのうちのひとつに座っては、遠くの水平線を眺めてた。
夕暮れ前にはベンチの上でひっくり返り、
まぶしくないよう、帽子を顔の上に乗せて
少し、昼寝をしたりした。
起きると、もう空が赤く染まっているんだ。
それはそれは、みごとな夕焼け。
そして、やっぱりとなりにはキミがいた。
いま、振り返っても
やっぱりこの町の思い出は、海とキミ。
温かくて、やさしい場所に帰りたいとき、
わたしはいつでも思い出すよ、海とキミがいた日々を。