小さい観覧車に乗りました。
それにしても、狭い場所のなかに入ると落ち着くのは
いったい、どうしてなんでしょう。
もしかしたら、自分という存在の輪郭が
「箱」という入れ物に入ることで
ようやく理解できるからかもしれません。
それはいつも曖昧で、ぼんやりとして、
ふと気がつくと、「外」と「自分」との境界線が立ち消えて、
自分の存在がとても現実味のないものに思えるときがあります。
そして、このまま「外」に溶けてしまえればいいのにと
思うことすら、ときどきあります。
そんな気持ちを、小さな箱に閉じ込めつつ、
観覧車はあっという間に一番の高みに登り、
ゆっくり、ゆっくり、下るのでした。