1時に寝たのに、4時にはすっかり目が覚めた。
眠っているのがもったいなくて、ひとりでこっそり家を出た。
歩き始めてしばらくすると、ぽつぽつ雨が降りだした。
こんなに朝早く、しかも、
濡れながら歩いているのなんてわたしだけで、
我ながら、おかしくなったけれど、
薄暗いなか、せみの鳴く声を聴いていると
自分がいま、どこにいて、どこを歩いて、どこに行こうとしているのか
すべての感覚が、たちまち消えた。
そういえば、インドのダラムサラのせみたちは、
毎日、夕方6時15分プラスマイナス2分の間に鳴き止んだ。
そして、まるでそれが合図でもあったかのように、
夜の闇が、山や町を飲み込んだのだ。
帰宅して、朝ごはん。
塩気のあるサントモールとチェリーのジャムで、あたまと心をここに戻す。