旅の途中で出会ったカフェが、普段の店より居心地いいと感じるのは
もうここには来られないかもしれないという、切ない気持があるからでしょうか。
日曜日の遠足で立ち寄った、黒磯にある
CAFE SHOZO。
古いアパートを改造したカフェに到着したのは、もう夕方の4時頃だったけれど、2時に開店したばかりのその店は、静かにひっそりと営業していた。
「大人はのんびり、こどもは静かに楽しみましょう」
「携帯、カメラはご遠慮ください」
メニューや壁のあちこちにぽつぽつと書かれた注意書きが、お店のスタンスを小さな声で、だけど、力強く宣言しているような感じがして、なんだかとても気持ちよかった。
そこへ集まってくるお客さんたちも、そんなスタンスを大事にしているような人たちばかりで、これもまた気持ちよかった。
隣りのテーブルに座る人も、ケーキを運んでくれた店員さんも、私は誰も知らないけれど、みんなとどこかでつながる気持を感じたカフェは、たぶん今までになかったことだ。
私はまた、このカフェに来ると思う。
きっと同じような夕方の時間。
温泉に入って少しゆるんだ心のままで、友だちと何時間でもおしゃべりに耽るだろう。
写真はテイクアウトしたSHOZOのスコーン。
ほろりほろりと溶けていくようなやさしい生地に、カフェから駅まで向かう途中、「あれ、見て!」って友だちが指差した、まるで源氏絵巻みたいな淡い満月を思い出した。