悲しいのは、かんたん。
このあいだ、待ち合わせまで時間があったので
駅ビルのなかの書店へ行った。
気になる本を2冊買ったが、まだ時間があったので
もんじゅ君といろいろな著名人の対談集をぱらぱらと眺めていたら、
坂本龍一のことばが目についた。
「悲しいときには、書かないとやってられない」
世界の教授でも、同じようなことを思うんだなと
ちょっと不思議な感じがした。
雨の日、ドトール。
アイスコーヒーを飲みながら、
ノートを取り出し、原稿のアイデアをまとめる時間が大好きだ。
「悲しい音楽をつくるのは、簡単なんです」
人間はもともとそっちのほうにできている、と坂本龍一は言っていた。
たぶん、本当にそうなんだろう。
そう考えると、お腹を抱えるほど笑って
そのあとになんにも残さないこと
−たとえば、三谷幸喜の芝居みたいな−って
なんて素晴らしいんだろうって思う。
今日書いた原稿は、農業の話。
雨の音を聴き、
今度はあったかいドリップコーヒーを飲みながら
5000字の原稿を書いた。
ごぼうみたいな土くさいにおい、
畑を渡る風のにおい、
からりと乾いたひなたのにおい、
いろんなにおいの、原稿を書いた。