空を見上げるのは、なんのため。
大勢のなかに、たったひとりでいることを孤独と呼ぶなら、
わたしはたぶん、孤独に強い人間だ。
だけど、孤独に強い人間が
かならずしも、さみしさに強いかというとそうではなく、
むしろ、さみしさが立ち入ってこないよう、
孤独という針金を、自分の周囲に張り巡らせてしまったような
感じもする。
こころを鍛えれば鍛えるほど
孤独に勝つことはできるかもしれないけれど、
それだけでは、さみしいという感情を消し去ることはできなくて、
反対に、孤独に強くなればなるほど
さみしいという感情も、強まっていくのだと、
そんなことに気がついた、曇り空のさくらみち。
水に映るさくらを見ながら、また、明日も歩こうか。