その甘い香りは、春への追い風。
レーシックの事前検査のとき、眼科医から
「瞳孔、開き気味ですね」と言われたわたしは
まぶしいところがちょっと苦手で、すぐ、涙目になる。
それとは関係ないかもしれないけれど、
強風に当たってもすぐ、涙が出てしまう。
だけど、こんなに可憐なつぼみを頭上に見つけてしまったんだもの、
どれだけビル風に吹かれようとも、顔を上げずにいられない。
帰り道、国連大学前のマーケットでりんごを3つ買った。
農家のおばさんとりんごについていろいろ話をしていたとき
「りんご、好きなの?」と聞かれたので
「大好きです」と答えると、
これ、よかったらと、家族で発行しているという
お客さんへのお便りをいただいた。
その日付を見ると、去年のわたしの誕生日。
なんだか、とても甘い香りのする縁を感じて
「また、来年」と、おわかれをした。
もうすぐりんごの季節もおしまいだ。
入れ違いに、春が来る。