そのヨガスタジオは、ブラインド越しに東京タワーが見える。
気づけば、指先まで妙にちからが入っていて、
手首に不必要なシワが寄っていた。
力を抜こうとすると、また別のところに力が移動してしまうので
ひとまず、深く息を吐くことだけ考えた。
見えているつもりで、実はなにも見えていなかったんだなあ。
考えているつもりで、実は堂々巡りをしていただけなんだなあ。
いつもこんなことの繰り返しで、
もう、いやになっちゃうなあって思うのだけど、
気づくことが変化の第一歩で
それを受け入れることが、立て直しのはじまりなのだと考えれば、
まあ、こんな性格も悪くないのかもしれない。
なんだかんだいって、数十年付き合ってきたのだし。
ヨガスタジオで東京タワーを見て、
部屋に帰って、ふたたび東京タワーを見る。
そのとなりにあるビルのなかで、
エレベーターの灯りが上下に移動しているのを眺めながら
眠る前に一杯、あったかいココアを飲んだ。