アジアとアジアの飯をこよなく愛するライターの、「旅」と「パン」と「おいしいもの」があれば幸せな毎日の記録です。
by asian_hiro
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ふたたび、インド人の友人の話
いま、目の前に差し出された手を握り返すということ。
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彼と初めて会ったのは2年前の春だった。
そのとき、彼は南インドから出てきたばかりだったため、
その町に友達もいなくて、いつも寂しそうな表情をしていた。
彼は、ヨガの先生のアシスタントとして
レッスン中に、生徒たちをアジャストする担当だったんだけど、
まだ、慣れていなかったこともあり、よくわたしが練習台になった。
たぶん、そこそこ筋肉質なわたしなら、
どれだけ無茶なアジャストをしても体が壊れることはないだろう、と
先生は判断したのだと思う。
たしかにそのときはアレレと思うようなアジャストもあったのだけど、
今では彼のほうが、ずっとわたしの体に詳しくて、
どんなアーサナのときでも、筋肉や関節の限界を察知して、
ベストなポジションまで能力を引っ張り上げてくれる。

彼は、ホットチョコレートが好きだ。
一緒にお茶を飲みに行っても、わたしがチャイやコーヒーを頼み、
彼がホットチョコを頼むのが定番で、
今回、わたしは
バンホーテンの缶入りココアをお土産に持参したのだけど、
どうやらそれは彼にとってちょっと苦味が強かったらしく、
やっぱり、インドで売っているキャドバリーのホットチョコのほうが
好きみたいだった。

彼が知っている「わたし」は、
ヨガのために日本からインドへ来て、
毎日、ストイックに思えるくらいヨガばかりして、
練習と練習の合間にチャイを飲んだり、りんごを食べたりして、
朝5時前に起きて、夜9時に寝る女性なので、
スカートをはいて取材に出かけたり、
化粧をしてワインを飲みに行ったり、
そんな日本での「わたし」を想像するのは難しいと思う。
同様に、わたしが知っている彼も狭い世界での彼なので、
南インドの実家で、彼が、どんなふうに暮らしているのか
実際のところは、よく知らない。
彼が生まれてすぐ、お父さんはほかの女性と結婚するため、
家を出てしまったこととか、
家の前に大きなココナツの木があり、
するすると木に登ってその実を取るのが日課であることとか、
もっと大きな家へ引っ越すためにこつこつ貯金をしていることとか、
そんなことを、断片的に知っているだけだ。

最近も、やっぱり彼とチャットのようにメールをやり取りしている。
彼は持病が悪化したため、南インドの実家に帰ったのだけど、
メールを受け取るたび、これはもしかしたら
わたしに対するなにかのSOSではないかと考えてしまう。
だけど彼は、自分の病気のことをあまり詳しく話さず、
仕事や家族についてなど、わたしの話を聞いてくれる。
インドで話したことを逐一よく覚えていて、
「あれはどうなった?」など、気にかけてくれるのだ。
わたしは彼に日本語を教え、彼はわたしにタミル語を教え、
互いのことばで「おはよう」「おやすみ」と言葉を交わす。
なにも、近くにいることがしあわせなのではなく、
遠くにいるから、こころづよく思える。
そんな関係も、あるのだろう。

なにかを求めて、手を伸ばすよりも、
いま、目の前に差し出された手を握り返す。
そのタイミングを逃すことは、もう、本当にいやなので、
わたしは耳を澄まし、彼の声を聞くような気持ちでメールを読み、
タミル語をまじえ、話しかけるように返事を書く。

写真は、ダラムサラで泊っていた部屋。
窓を開けると、一面の緑だった。


インド人の、友人の話
by asian_hiro | 2012-11-09 18:43 | インド旅行記 | Comments(0)
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