もったいなくて、せつなく、さみしい。
2年前だったかな、
チャンディガルへ、コルビジェの建築物を見に行った。
町自体がだだっ広くて、交通量が多く、
ヨーロッパの繁華街みたいな通りが何本も走っていて、
ナイキやソニーの看板もピカピカに光っているし、
もちろん、牛なんてどこにもいなくて、
路上のチャイ屋もほとんど見ない。
ここはホントにインドだろうか、
安宿も全然ないし、屋台もないし、
明日には、この町を出てわたしの知ってるインドへ帰ろう、
なんて思いながら
車がびゅんびゅん通る大通りの端っこを
ひとり、夜風に吹かれつつ歩いていたら、
そう、たまたまそれは満月の日だったんだ、
空き地に置かれた観覧車は
その時間だから、もう誰も乗っていなかったけれど、
観覧車越しに眺めた満月は、白くてまんまるでふくよかでやわらかく、
その満月と、真正面から目があった瞬間に、
なんともいえない気持ちが
胸の奥底からものすごい勢いでせせり上がってきて、
そんな、甘くて切なくさみしく贅沢な気持ちを
カタンカタンと蹴りとばすように、
夜道を1時間ほど、たっぷり時間をかけて宿へ歩いた。
今夜も満月。
あとで、ちょっと遠くのコンビニへアイスを買いに行く旅に出よう。