初めてヨガを体験したのは、インドの山深い町だった。
吐く息が真っ白く濁る冬の早朝、見よう見真似でポーズをとった。
動きの合間には1、2分程度の休息が入る。
薄っぺらいマットからジンジンと床の冷たさを感じながら寝ていると、荒かった息が次第にペースを落としていく。
同時に外を吹く風の音が耳に入るようになってきた。
やがて耳に入る音が自分の呼吸の音なのか、それとも風の音なのか、まったくわからなくなってくる。
その瞬間、「ああ、これがヨガなんだ」と確かに感じた。
ヨガとはサンスクリット語で「結ぶ」という意味である。
自分と自然。心と身体。
意識せずとも、動きを通してたくさんの結び目が生まれていく。
今週から睡眠時間を1時間削り、自分のペースでヨガを再開することにした。
部屋にはインドの風がない。しみるような冷たい床もここにはない。
だけど、自分の心にインドの朝の静謐とした空気を感じ、たくさんの結び目を作ることで、安定した強い心を築こうと思う。
ヨガのあとは「VIRON」のパン、たっぷりとプラリネクリームが入ったヴィエノワズリをブラックのコーヒーとともに食べる。
何度も深く呼吸してスッキリ目覚めた心には、甘い香りの休息を。