それの在処を思うよりも。
旅の間にどうやらマクロレンズのキャップを無くしたらしく、
どこを探しても見つからない。
バッグパックをひっくり返しても出て来ない。
とりあえず、レンズに小さな布を被せて
埃がつかないようにしたけれど、
あるべきものがここにないという現実は
時折、大きな渦となって
わたしの足を一息にすくおうとする。
だけど、たとえなにかを無くしても、
わたしはそれを無くしたままで
日々のことを淡々とこなしていかなければならないのだということに
そろそろ、慣れなければならないのだろう。
写真は、ニューデリー空港の新しいターミナル。
夜中だというのに、まぶしいくらいの照明が
インドの終わりを告げていた。