raison d'etre、訳せば「存在理由」。
絵描きの存在理由は、絵の具ではなく絵のなかにある。
小説家の存在理由は、ことばではなく物語にある。
パン屋の存在理由は、小麦粉ではなくパンにあり、
音楽家の存在理由は、楽譜ではなく旋律や和音にあり、
旅人の存在理由は、辿った道筋ではなく行く末にある。
あなたの存在理由は、あなたという肉体ではなく私自身のなかにあり、
私という存在理由は、いつも何かを求めてさまよっている。
先日、いただいたお皿にマドレーヌをのせて。
たった今、このお皿の存在理由はマドレーヌのなかにある。