雙連駅前、朝8時。
日本と同じ食べものを海外で見つけると、
懐かしさと気恥ずかしさを同時に感じるのは
どうしてだろう。
魚、野菜、練り物、肉。
揚げたてのフライが、飛ぶように売れていく。
これがホントの「フライ」だなあ…などと、下手なギャグを思ったり。
大地で採れた野菜は、大地と同じ高さで売られている。
買うひとも、みな、地面にしゃがんで野菜を選ぶ。
この国では、野菜もひとも
いつでも大地とつながっている。
出勤前に、朝飯の一杯。
ちらしを眺め、麺をすすり、またちらしを見て、麺をすする。
そんなことを繰り返すうち、あっという間にどんぶりはカラになる。
8時、9時、そして10時。
入れ替わり立ち替わりやってくるお客たちを
朝市は迎え続ける。
何年、何十年経っても変わらない、
この町の一日は、いつもこの景色とともに始まっている。
いつか、朝市だけをめぐる旅がしたい。
北欧からアフリカ大陸、アジア、南米まで、
地図にも載らないくらい小さな町を訪ねて
街角に立つ、朝市に出かけたい。
毎朝、誰よりも早く朝市に出かけ、
さいごのひとりが店じまいをするまで、
ずっとその場で写真を撮りたい。
いつか、叶えたいわたしの夢。