アジアとアジアの飯をこよなく愛するライターの、「旅」と「パン」と「おいしいもの」があれば幸せな毎日の記録です。
by asian_hiro
XML | ATOM

skin by excite
合掌
祈った相手は、神さまじゃなかった。

突然、病院から電話があり、
財布とPASMOとiPhoneだけ手に取って家を飛び出した。
ひとりになる―。
そう思うと、つい目の底に力が入り、奥歯の噛み締めが強くなる。
それなのに、次の瞬間にはあたまがフラフラと楽観思考に走っていく。
現実を正面から見つめたくなくて、
無意識に、根拠のない期待へ逃避しているのだと思った。

電車に乗って、乗換駅まで20分、そこからさらに25分。
とにかく、
とにかくなにもしないではいられなかったので、
イヤフォンを耳に突っ込み、iPhoneで音楽を聴いた。
ゆっくりで曖昧な音楽はとてもじゃないけど耐えられそうになく、
あたまに浮かんだのは、Daedelusの曲だった。

Untitled 4、Rabbit Ears、そして、Hope for the Best 。
この明るくアップテンポなリズムに、いったいどれだけ励まされたか。
Get the Door、Arouse Suspicion、Play It Again、
Anchor Steam、Sawtooth EKG。
そしてまた、Untitled4に戻る。

地下鉄のホームを走り、病院に駆け込んで、
焦り、なみだぐみ、不安になり、
そして、ようやく数時間後にホッとした。
夕方、治療を待つあいだ、
処置室の前に張り出された「今週の献立」を見つつ、
明日の朝は
「パン、炒り卵のトマトあん、中華風サラダ、牛乳」なのだと思ったら
なぜだろう、
なぜかわからないけれど、右と左の手のひらを
合わせたくてたまらなくなり、ひとりしずかに合掌した。
そしてまた、音楽を聴き始め、
ただなにもせず、呼吸だけを続けた。

咄嗟の瞬間、あたまに浮かび、
どうか、と祈った相手は神さまではなかった。
なぜ、そのひとのことを思い浮かべたのかわからない。
でも、たぶんそばにいて欲しかったのだろう。
ほんとうに、心細くて辛くて、なみだがこぼれそうな瞬間に。

夜、家に帰ってお風呂に湯をはっている間、
しょうがを千切りにし、ホットジンジャーハニーレモンを作った。
インドでよく飲んだもの。
とろりと甘い液体は熱い軌跡を残し、胃のなかへ落ちていった。
そしてまた、今も同じ音楽を聴いている。


忘れないように、今日のことを残しておく。
しばらく、おやすみです。

# by asian_hiro | 2012-05-18 22:16 | 日々のこと | Trackback
恋愛小説
「さみしさで、人間は壊れてしまう」という文章を読んで、
ああやっぱり、この人は男性作家なのだな、
女性作家ならこんな台詞を女性に言わせることはないだろうなと
思った。

最近、ひとに勧められてある作家の小説を立て続けに読んでいる。
インドにも2冊持参し、帰国してからも2冊読んだ。
正直いってわたしにはあまり共感できるところがなく、
だからこそ、「ああ、そういう考え方もあるのね」と
次々に読み進めているのだけれど、
「さみしさで、人間は壊れてしまう」
いま、読んでいる小説のなかにこの一文を見つけた瞬間、
ああやっぱりこの人は男性目線の、男性作家なのだなと思った。
人は、さみしくても壊れない。
少なくとも、女性は。

女性はさみしさを器用になにかへ転化する。
趣味とか、行動とか、あるいはほかの感情とかに。
たとえば、「怒り」、みたいな
原始的で、率直な感情に。

さみしさを自分で埋めるのは難しい。
でも、怒りなら簡単に乗り越えられる。
なぜなら、ひとは怒りを持ち続けることはなかなかできず、
ときが経てば、やがて忘れてしまうから。
だから、無意識のうちにさみしさを怒りという感情に変化させ、
時間の経過とともに、それを乗り越えてしまうのだと
わたし自身は思っている。

そんなことを考えつつ、喫茶店で本を読んだ。
今日3杯目のコーヒーはぬるくなり、
目の前には、日記帳の真っ白いページが開かれていた。

写真は、スリランカの海辺の町。
青い空がまぶしくて、目を細めながら通りを歩いた。

# by asian_hiro | 2012-05-17 19:20 | 日々のこと | Trackback | Comments(6)
かけがえのない
毎日を、ささえる車輪のように。

窓から見える東京タワー。
その斜め上空にかかる月。

おなかが最高潮に空いた状態で食べるごはん。
朝、はじめて口にする澄んだ水。

「おはよう」と言ったら、「おはよう」と聞こえる返事。
「おやすみ」と言ったら、「おやすみ」と返ってくる挨拶。

あおくさい、新緑のなかを散歩する時間。
できることなら、海辺で潮の満ち引きを眺める時間も。

わたしが、大切にしたいと思うこと。
なにげない、でも、かけがえのないしあわせ。

# by asian_hiro | 2012-05-16 23:49 | 日々のこと | Trackback | Comments(2)
手紙
ある日、昼下がり。

食堂の、いちばん風通しのいい席に座って
一通の手紙を書いた。
目の前に広がる山と、谷と、青空を見つつ、
ミントティーを飲みながら書いた。
ゆっくり、大事に書こうと思ったのに
気持ちが急いて、あっという間に書き終えてしまった。
となりの畑では牛がンゴーッ、ンゴーッと鳴き、
空では鷲が、ひゅるるっと飛んでいた。

# by asian_hiro | 2012-05-15 22:22 | インド旅行記 | Trackback | Comments(0)
マンゴジュース
語りかけるように。つぶやくように。

どろりとしたマンゴジュースを飲みながら、毎日日記を書いた。
1ページ、2ページ、ときにはもっと。
旅の、はじめのころに書いていた事柄と
どんどん内容は変わっていき、
行と行のすきまに、ヒマラヤの澄んだ空気が詰まっていく。

# by asian_hiro | 2012-05-14 21:57 | インド旅行記 | Trackback | Comments(2)
誰かが、どこかで、同じように歩いてる。

これからどこに行くのかなんて、誰にもわかりっこないさ。
ただ、わたしは自分の風が
そっちからあっちへ向かって吹いているのを感じてる。
いまは、それだけで充分で
あとは、風のにおいを感じながら
昼間はおひさまに向かって、
夜はお月さんに向かって、
まっすぐ歩いていけばいいんだって思ってる。

ダラムサラを出た夜行バスは、朝6時頃ニューデリーに着いた。
バッグパックをよっこらせっと背負い直し、
まるで、近所のコンビニへアイスをひとつ買いに来たって顔をして、
わたしはこの通りをまっすぐ進み、いつもの宿へ向かうのだ。

# by asian_hiro | 2012-05-13 20:15 | インド旅行記 | Trackback | Comments(2)
変わらず、好きでいられるのはインドだけだ。

嫌いなものや苦手なものは、無意識にそこから逃げようとするけれど、
好きなものや愛しいと思うものは、いつでもそばにいたいと思う。
だから、かなしいかな、
自分自身を苦しめているものは、
ほかならぬ、自分が好きなものや愛しいと思うものなのだろうけれど、
こればかりは、もうどうしようもなくて、
ただ、自分といういれものの上を
波が寄せては引いていくまで、しのぶしかない。

オールドデリーのチャイ屋。
インド全土、あちこちでチャイを飲んだけれど、
この人の美しい所作に敵うチャイ屋は、滅多にいない。

# by asian_hiro | 2012-05-11 20:09 | インド旅行記 | Trackback | Comments(0)
雲海
ところで、雲と空の接する線って
なんて呼ぶのか、教えてもらえませんか。

次にインドへ行ったら
あの町まで足を伸ばして、あの人に会おうとか、
あの店のあの席で、あのチャイを飲もうとか、
あの楽しそうな企画、少しずつ進めようとか、
次にインドへ行くまで、
毎日少しずつでもプラナヤマを続けておこうとか、
あのアーサナ、もうちょっと頑張ったらできそうだとか、
そんなことを、一日中考えていたいので、
どうでもよいことに引きずり回されたり、
手が届かないものを無理矢理追いかけたり、
じたばたしたり、焦ったり、
そんなことは、みんな、
ぽーんと放り出してしまうことにしました。

飛行機から眺めた雲海。
必ず、窓際の席をお願いするようにしているのは
この景色を眺めたいから。
また、近々。

# by asian_hiro | 2012-05-09 21:17 | インド旅行記 | Trackback | Comments(0)
しあわせ
Open Happiness!

春のひざしを浴びながら、
曲がり角で、ひとねむり。
しあわせのトビラを開く鍵は
いたるところに、落ちている。

Tags:# 
# by asian_hiro | 2012-05-09 21:04 | インド旅行記 | Trackback | Comments(2)
ルール
世界を動かす、シンプルな原則。

この12日間で、いったい何が変わったかといえば
世界が逆転するくらい、すべてが様変わりしたような気もするし、
なんにも変化がなく、
前と同じ日常にポンと戻ってきたような感じもする。
だけど、ダラムサラで過ごした時間は
今のわたしにとって、間違いなく必要だったもので、
ちょっとのあいだ、見失っていた自分のルールを
わたしは、きちんと取り戻せたような感じがする。

世の中って、自分が思うよりずっと単純で、
本当に、大切なものはひとつだけ。
それさえ見失わなければ、
わたしはどこでも、誰とでも、どうやってでも生きていける。

Tags:# 
# by asian_hiro | 2012-05-08 22:39 | インド旅行記 | Trackback | Comments(2)
< 前のページ 次のページ >